【シングルマザーのための情報】養育費について知っておこう(基礎編)第2回 養育費ってどういうものなの?

さて,今回はそもそも「養育費」とはどういうものなのかについてお話してみましょう(養育費の受け取りの状況については前回の投稿「第1回 データから見る養育費の状況〜6割が貰っていない」をご覧ください)

養育費とは?

 未成年の子どもが社会人として自活するまでの間,生活するために必要な費用のことをいいます。

 「婚姻費用」という言葉を聞くことがあるかと思いますが,婚姻費用は夫婦が婚姻共同生活を維持するための必要な費用のことをいいます。

 つまり,婚姻費用は,夫婦や親子が同居または別居している間に夫婦相互で分担する費用なので,妻(夫)と子どもが生活するために必要なお金であるのに対し,養育費は「子どものため」に必要な費用なので妻(夫)の生活費は含まれません。

 

養育費の支払は義務なの?

 離婚後の養育費の支払は監護費用(民法766条1項)に法律上の根拠があると言われています。親は子どもに対して扶養義務を負っているので(民法877条1項)の養育費を負担する義務があります。

 また,この義務は親が子どもの親権者であるか否かに関わらず,子どもの親であるならば当然に支払わなくてはなりません。

 

どれくらいの金額が貰えるの?

 親は子どもに対して,自分の生活を保持するのと同程度の生活を保障する義務があります(生活保持義務)。そこで,離婚後にも同居していたときに負担していた金額と同じ程度の金額を負担すべきとされているので,元妻は,元夫に対して子どもと共に経済的に独立した生活ができる金額を請求することができます。

 では実際の金額はどの程度になるのかという点になりますが,この計算方法を詳細に説明するとかなり複雑な計算が必要になります。この回はあくまで基礎編なのでこの計算方法は追ってご説明致します。

 そこで,最近は家庭裁判所での話し合いにおいても,平成15年に「東京・大坂養育費等研究会」がまとめた算定表という簡易な表を利用して養育費の金額を算定することが多くなっています。

 養育費・婚姻費用算定表(東京家庭裁判所ホームページ)

 

算定表の見方について

対応する表の探し方

 まず,お子さんの人数と年齢(0〜14歳,15歳〜19歳)に対応して表が分かれています。

表の見方

 そして,養育費を支払う側(義務者)の年収と養育費を貰う側(権利者・子を引き取って育てている親)の年収を比較して,月額●万円から●万円の範囲とおおよその金額を決め,そこから具体的な事情を考慮して決めていくことになります。

年収の算定方法

 年収とは,手取り額ではなく,給与所得者ならば源泉徴収票の「支払金額」が基準になります。つまり,社会保険料などが控除される前の金額が基準となるので,手取り額から判断しないようにしましょう。

 自営業者の場合は,確定申告書の「課税される所得金額」を基準にするのですが,基礎控除・青色申告控除・支払がされていない専従者給与などは加算して算定します。

児童手当・児童扶養手当

 また,児童手当・児童扶養手当は権利者(養育費を貰う側)の年収には含まれないので除外しましょう。

医療費や学費がかかる場合は?

特別な学費

 通常の範囲の医療費や学費は算定表の中で考慮されています。しかし,特別に医療費や学費(私立学校・塾など)がかかる場合は協議のなかで考慮される可能性もあります。

 裁判実務では,「子が大学,短期大学,専門学校又はそれらに準ずる高等教育機関に進学したときは,その入学金や授業料の支払について別途協議する」などと定める場合があります。

医療費

 医療費も高額な治療費がかかる場合は請求することが可能です。

 

いつからいつまで支払われるの?

 (支払の始期)

 離婚が確定した日(別居していて婚姻費用が支払われた場合)か養育費を請求したときから支払をするのが原則です。過去の養育費については原則認められません(認めた裁判例もありますが,個々の事情に依ります)。

 (支払の終期)

 原則は20歳までです。大学に入った場合は,卒業後に社会人となるため,卒業後まで支払を認めた裁判例もあります(個々の事情に依ります)。

 

 その他,住宅ローンがある場合や支払う側が第三者と同居している場合など様々なケースが考えられますが,ここでは割愛致します。

 では次回は,合意が成立したのち,事情が変更した場合や合意したのに支払われなくなった場合についてお話することとしましょう。 

 

 

 

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