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母子家庭の収入の状況
以前,こちらの投稿でも書いたのですが,『どうして,居住スペースとワークスペースが一緒になっているのか』https://www.facebook.com/makevillage/posts/631109703710204
厚生労働省の平成23年度全国母子世帯等調査結果報告によると,シングルマザー世帯,いわゆる母子家庭世帯の収入は平均年間223万円となっています。
但し,この金額は生活保護に基づく給付,児童手当・児童扶養手当などの社会保障給付金,養育費を加えた全ての収入額なので,就労収入(給料等)に限れば年間平均181万円(月額約15万円)となっています。
ただ,児童手当と児童扶養手当は,仮に子供が1名とすると,
①児童手当 15,000円 ✕ 12ヶ月=18万円
②児童扶養手当 約42,000円 ✕ 12ヶ月= 50万4000円
で合計約68万円となるはずですから,実際の就労収入がもっと低い方々が多いのではないでしょうか。
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養育費の取り決めの状況
そうすると,児童手当・児童扶養手当などの社会保障給付金が家計にとって重要になっているのはもちろんですが,養育費をきちんと貰う必要があります。
とにかく子育てにはお金が掛かりますから,相手親の協力は必要不可欠です。
そこで,同じ2012年(平成24年)の厚生労働省調査から養育費の状況はどうなっているか見てみることにしましょう。
まず,母子家庭世帯の母の養育費の取り決め状況ですが,平成23年において,
①養育費の取り決めをしている 37.7%
②取り決めをしていない 60.1%
となっています。母子家庭世帯では6割が養育費を貰っていない状況がわかります。
これを離婚の方法別で見ていくと,
(1)協議離婚
①取り決めをした 30.1%
②取り決めをしていない 67.5%
(2)調停・裁判離婚
①取り決めをしている 74.8%
②取り決めをしていない 23.9%
となっています。
これを見ると,仮に養育費が月額2〜3万円でも10年近く養育費を受領することを考えると,合計240万円〜360万円程度総収入が増えることになります。多少の時間と費用をかけても,お子さんのためにきちんと離婚の際に協議をしたほうがいいことがわかります。
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どうして取り決めをしていないのか
ではどうして養育費の取り決めをしていないのか,その理由を見ていくと,
①相手に支払う意思や能力がないと思った 48.6%
②相手と関わりたくない 23.1%
が主な理由となっています。
確かに離婚の原因として経済的な状況の悪化,特に夫のリストラや転職,給与額の低下などが間接的なきっかけとなることも多いですし,不倫・暴力・暴言・モラハラなどが離婚原因となることが多いので,そう思う気持ちも理解できます。ただ,子どものために少しの金額でも,心理的な障壁を乗り越えて協議は必要だと思います。
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取り決めをしていれば受給できるのか
ただ,養育費の受給状況を見ると,単に養育費の取り決めをしても実際には受給できていないこともわかります。
①現在も養育費を受けている 19.7%
②過去に養育費を受けたことがある 15.8%
③養育費を受けたことがない 60.7%
となっているので,養育費の取り決めをしても支払わなくなる可能性は15%〜20%程度はあることがわかります。
特に母子家庭になってからの年数から見ると,過去に受けたことがあるという割合が
①0〜2年 9.8%
②2〜4年 16.3%
③4年以降 18.7%
と年数を重ねるごとに増えてきているので,合意しても年を追うごとに支払わなく可能性は高くなっています。
では,次回はそもそも養育費とは?というところから,金額の判断となる基準や取り決めの方法についてお話することにしましょう。